「絵を金属で造る」ということ2014年02月14日
ロートアイアン等の装飾的な金属工芸の作業は、「絵を金属で造る」という要素が大きいといえるでしょう。そのため、絵を構成している部材が、必ず全て効率的に構造要素となり、力学的にも成立していなければなりません。特に、重量のある素材である金属について、何らかの建築物の要素として機能を有している場合は、構造上の無駄があってはなりません。伝統的なロートアイアン等の仕事は、このような点においては、上手な仕口が工夫されており、構造と意匠の一致があります。染織や絵画といった二次元の平面美術と異なり、金属工芸においては、デザイン上における、力学的な構造と意匠の構造を一元化させようとするための制約があります。しかし一方、もしそれが功を奏した場合には、突出した独自性が発揮され、必然性の高い工芸デザインが成立します。