手法と部材の選定2021年02月08日
ロートアイアン等の建築的な金属工芸を製作する方法について、鋳造という方法を採用するか、二次製品材料を加工して製作するかという問題があります。基本的にこの問題は製作物のコンセプトに関係することであり、鋳造部品を製作することは経済的な面からも有利な点がありますが、この場合においては、鉄部材との溶接の適性や鋳造品の強度等の諸条件から、ダクタイルなどのような優れた特性の材質による鋳造がメリットがあるといえるでしょう。
ところで、ロートアイアン等の建築的な金属工芸の製作において部材の選定が重要である理由は、それがデザインをするにあたり構想されるコンポジションの表現と決定に関して、最も繊細に拘わる要素であるという点にあります。具体例を挙げるならば、金属の部材は立体的であり、フラット・バーにしても厚みあるため、平面図面上のコンポジションで判断する場合において特に注意が必要で、どんな小さな部分でも、常に立体的な視覚によってイメージする必要があります。また、部材の薄さや厚さは微妙にその量感、質感に反映します。特に板状のものやパイプ類、中空のものなどの厚みを決定することは、当然のことながら構造上の剛性への配慮はあるとしても、表現上の要素としてもとても重要です。