ロートアイアンの歴史(5)2013年12月18日
ロートアイアンの中でもアールヌーボースタイルのものは動物や植物、昆虫等のモチーフを使用したかなり曲線的なものがメインとなります。動物や植物、昆虫等をモチーフとしたことで、一見すると奇怪なスタイルとも思えますが、そこにはバロック、ロココの伝統の流れと、ヨーロッパ人の民族的な趣味性を垣間見ることができ、興味深いものがあります。
その後のアールデコスタイルにおいては、一変して東洋的な影響を多く受けたものと直線的で幾何学的な模様とが現れてきました。この時代における鉄の生産は、既に産業革命の成果として飛躍的に発展し、鉄は建築の構造材の分野においても本格的に使用されるようになりました。ロートアイアンの装飾は鉄柱や橋梁、その他の鉄による構築物などに多く使用されて、しかも単なるオーナメントとしてではなく、新しく始まった鉄による機能中心の建築構造を、意匠として当時の人々の感性にいかに調和させるかという切実な悩みを垣間見ることができるのです。エッフェル塔の細部のあらゆるところには、ロートアイアンのオーナメントが施されています。